MSIが送るクールなデザインの高品質ファン「MEG SILENT GALE P12」をクイックレビュー。競合製品も解説します。

ここ数年、様々なメーカーから相次いでリリースされている高品質ファン。
MSIも例に漏れず、2021年10月7日に「MEG SILENT GALE P12」を発売しました。
このファンの特徴は、ファンブレード(インペラ)に液晶ポリマー(LCP)を採用している事です。液晶ポリマーは剛性や耐熱性に優れ、高速回転時や水冷ラジエーター冷却時と言った悪条件下でも、ブレードの変形を最小限に抑え、高いパフォーマンスを発揮します。
また、軸受にHydro-Dynamic Bearing(HDB)を採用することで、軸の摩擦や音を軽減し、高耐久かつ長寿命を実現しております。
その他にも、ファンブレードの角度の最適化や防振ゴムの採用するといったこだわりも見て取れます。
結果、通常のファンと比べ同じ回転数でも、風量や静音性に優れ、長寿命かつ高品質なファンに仕上がっております。
このような高品質ファンは、各社お値段も高めなのですが、こちらは税込2,500円程度と比較的安価に購入可能です。また、色も黒色で他のパーツとも組み合わせやすく、コスパと実用性を兼ね備えており、万人にお勧め出来るファンとなっております。
そんなファンを私も早速、手に入れてきましたので、簡単にではありますがご紹介したいと思います。
仕様
MEG SILENT GALE P12 | |
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FAN SPEED | 0~2000 RPM |
AIR FLOW | 56.2 CFM |
AIR PRESSURE | 2.21 mm-H2O |
FAN NOISE LEVEL | 22.7 dBA |
RATED VOLTAGE | 12V |
BEARING TYPE | Hydro-Dynamic Bearing (HDB) |
FAN CONNECTOR | 4 PIN (PWM) |
Life Expectation | 50,000 hrs (40℃) |
Fan Dimension | 120 × 120 × 27.5 mm |
Weight | 209.5g |
ACCESSORIES | Extension Cable(300mm) x1 / Screw x8 |
特徴・ギャラリー
写真だと少し分かり辛いですが、ファンブレード(インペラ)には硬質な液晶ポリマー(LCP)が使われています。
黒色でスタイリッシュなデザインです。真ん中のドラゴンがなんともですが、回転したら見えなくなります。比較的どんなPCでも取り込みやすいデザインでしょう。
ガスケットには、防振ゴムが採用されており、振動音を軽減します。
ケーブルは綺麗に逃がしてあり、スリーブも施されております。
コネクタは4PIN仕様でPWM対応です。
パッケージには、本体の他、300mmの延長ケーブルやテーパーネジも付属します。プラスチック製の固定具も同梱されていました。
使用感
実は、私はこの製品を直近で買って触れたのが初めてではなく、発売間もない頃に友人用の自作PCにこのファンを選定し、組み込み、負荷テストを実施しております。その時の記事も裏で書いているのですが、現時点ではまだ公開出来てません。いつものマイペース投稿。。。そちらも早めに投稿します。
投稿しました。
【4Kゲーム&4K配信】ATXマザー対応の小型ケース「Q500L」で友人のハイエンドPCを自作する。
ケースはATX規格のマザーボードが入る製品としては最小クラスの「MASTERBOX Q500L」に、CPU「Core i7-11700」、GPU「GeForce RTX 3080 Ti」を採用した構成となっており、小さいケースにTDPの高いハイエンドパーツといった熱的に悪条件な環境でも、高いパフォーマンスを発揮しておりました。
前述のPCにOCCTを使ってCPUとGPUを同時に長時間フルロードさせた状況下においても、このケースファン「MEG SILENT GALE P12」は1,000RPM程度でケース内を十分冷やせており、CPUは65度程度、GPUは80度程度と高負荷時としては全く問題のない温度で運用出来ておりました。このPCには、トップに2つ、ボトムに2つ、リアに1つの計5つの「MEG SILENT GALE P12」を搭載しました。
上記の環境下だとファンの動作音もかなり小さく、PCデスクの横や下など通常PCを設置しそうな場所において、PC使用時にデスク手前の椅子に座るようなシチュエーションで多少PCから離れてしまえば、もう音は分からないくらいには静かでした。
競合製品との棲み分け
冒頭でもお話した通り、現在PCパーツ市場では、多くのメーカーから高品質ファンがリリースされております。今回ご紹介してるMSIの高品質ファン「MEG SILENT GALE P12」もかなり良好なスペックを有しておりますが、他のメーカーと比較したときに、どのような差があり、どのメーカーのファンが買いなのか気になるかと思います。そこで私の見解ではありますが、簡単に主要な高品質ファンの特徴や差を比較して所感を綴ってみようと思います。
MSI「MEG SILENT GALE P12」
MEG SILENT GALE P12 | |
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金額 | 執筆現在おおよそ2,500円くらい。 |
Rotational speed | 0 ~ 2,000 RPM |
Airflow | 56.2 CFM |
Static pressure | 2.21 mm H₂O |
Acoustical noise | 22.7 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 27.5 mm |
まずは、今回の記事の主役から。
このファンの特徴は、多数メーカーから出ている高級ファンの中でも最安クラスにも関わらず、性能や品質はトップクラスなこと。ファンブレードには、液晶ポリマーを、軸受にHydro-Dynamic Bearingを採用。材質にもこだわられています。そして、色は黒で直線的なデザインでクールな点もメリットと言えるでしょう。今時のカッコイイ魅せるPCとの相性は抜群だと思います。
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MEG SILENT GALE P12Noctua「NF-A12x25」
NF-A12x25 PWM | |
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金額 | 執筆現在おおよそ3,800円くらい。 |
Rotational speed | 450 ~ 2,000 RPM |
Airflow | 102.1 m³/h (60.1 CFM) |
Static pressure | 2.34 mm H₂O |
Acoustical noise | 22.6 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 25 mm |
Noctua
NF-A12x25 PWMクーラーメーカーの王者的存在「Noctua」の最上位モデル。
自作PC市場に液晶ポリマーを用いた高品質ファンを流行らせた先駆け的なメーカー、製品になります。性能、品質、静音、どれをとってもトップクラスで文句の付けようがありません。付属品もこのメーカーは、他社を圧倒する程豪華で、分岐ケーブルや回転数を落とす為のアダプタ、ラジエーター用の隙間を埋めるガスケットなど、至れり尽くせりです。お値段の高さもトップクラスですが、予算を気にせず、静かなファンが欲しい場合はこちらの製品を選ぶことになるでしょう。
また、こちらのシリーズには、厚さ違いの15mmモデル、回転数固定で複数モデル、色違いの黒モデルも存在します。用途に応じて選べるのが嬉しいです。
Thermaltake「TOUGHFAN」
TOUGHFAN 12 | |
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金額 | 執筆現在おおよそ2,600円くらい。 |
Rotational speed | 500 ~ 2,000 RPM |
Airflow | 58.35 CFM |
Static pressure | 2.41 mm H₂O |
Acoustical noise | 22.3 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 25 mm |
こちらの製品も割と初期の方に出てきた製品になります。Noctuaが先駆けですが、それを追うようにすぐリリースされました。
当時は、液晶ポリマーを用いたファンは数少なく、Noctuaも標準の茶色のモデルしかありませんでした。そのような状況でリリースされたこちらの製品は色が黒。「NF-A12x25」の黒バージョンなんて言われもしてました。そう呼ばれるくらいスペックも「NF-A12x25」に似ています。性能、品質、静音性、どれも「NF-A12x25」に迫るスペックを有しております。それでいて、お値段は3分の2程度とコスパにも優れていました。その為、MSIの「MEG SILENT GALE P12」が登場するまでは、コスパで考えたら「TOUGHFAN」といった具合でした。(今も十分なコスパですが。)
また、「TOUGHFAN」には、なんとサイズ違いがあります。他社は120mmばかりのなか、140mmバージョンも販売しております。そして、ふたつ入りのセット商品もあり、こちらですともう少しコスパ良く購入出来ます。120mmも140mmも混在してPCケースに設置する場合、同じファンで統一出来るのは、メリットと言えるでしょう。そして、通常版より後に「TOUGHFAN 12 TURBO」という最大回転数を2,500RPMまで引き上げたモデルも発売されています。勿論、音は多少大きくなってしまいますが、風量を稼ぐことが出来ます。
Noctuaに比べれば少ないですが、回転数を落とすアダプタが付いていたり、2-Fans Packには、分岐ケーブルが付いてくるなど、便利な付属品もついてきます。
Phanteks「T30-120」
PH-F120T30 120MM FAN | |
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金額 | 執筆現在おおよそ30$くらい。 |
Rotational speed | 0 ~ 2,000 RPM (Advance Mode 0 ~ 3,000 RPM) |
Airflow | 67 CFM |
Static pressure | 0.13 in H₂O (3.302 mm H₂O) |
Acoustical noise | 27.3 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 30 mm |
Phanteks
PH-F120T30 120MM FANなんといってもこのファンの特徴は厚みが30mmな事。(干渉は注意。)通常は25mmですが厚みを増すことによりファンブレードも厚く出来、風量を稼ぐことが出来ます。更にファンブレードは、ただ液晶ポリマーを使用するだけでなく、グラスファイバーも掛け合わせることで、更なる剛性を実現しています。軸もあの大手「SUNON」との共同開発により、「Dual ring load balancing」や「3-Phase motor with DUAL VAPO bearing and Magnetic Levitation」といった機構の採用により、軸ブレ対策や長寿命への追求もされています。
少々入手性は悪い(現時点で国内展開無し)ですが、高品質なファンで他よりも風量が欲しい場合はこちらの製品がベストでしょう。(モード切替で3,000RPM対応)
Thermalright「TL-B12」
TL-B12W | |
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金額 | 執筆現在おおよそ3,000円くらい。 |
Rotational speed | 2150 RPM±10% (MAX) |
Airflow | 69 CFM |
Static pressure | 2.87 mm H₂O |
Acoustical noise | 28.1 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 25.6 mm |
Thermalright
TL-B12W白色の高品質ファンといったら、現状このファンしかありません。(たぶん)
勿論、黒色もあります。
高品質ファンで流行り?の液晶ポリマーは使われいていませんが、軸受けには「S-FDB Bearing」が採用されており、軸ブレやノイズは一般的なファンに比べて抑えられております。今まで、白色の高品質ファンが全然なかった中の登場で、(光らせない)白色ハイエンドPCの救世主となってくれました。
なんか、2021年12月17日に「TL-B12 EXTREM」という回転数が3,150RPMまで引き上げられたモデルが国内展開されるみたいです。
CoolerMaster「MasterFan SF120M」
MASTERFAN SF120M ARGB | |
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金額 | 執筆現在おおよそ3,500円くらい。 |
Rotational speed | H: 650-2000 RPM ± 10% M: 650-1600 RPM ± 10% L: 650-1200 RPM ± 10% |
Airflow |
H: 62 CFM (Max) M: 46 CFM (Max) L: 35 CFM (Max) |
Static pressure | H: 2.40 mmH2O (Max) M: 1.63 mmH2O (Max) L: 0.93 mmH2O (Max) |
Acoustical noise | H: 5.5-22 dBA M: 5.5-20 dBA L: 5.5-12 dBA |
Size | 120 x 120 x 25 mm |
CoolerMaster
MASTERFAN SF120M ARGB今度は光る高品質ファンです。たぶんこれしかないです。
勿論、光らないモデルもあります。
こちらも液晶ポリマーは使われておりませんが、軸には防振モーターやダブルボールベアリングが採用されています。高いパフォーマンスを求めつつ、今時のピカピカの魅せるPCには、うってつけの製品だと思います。
ADATA「XPG VENTO PRO 120 PWM」
XPG VENTO PRO 120 PWM | |
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金額 | リリース時の価格3,000円くらい。 最近は値下がりして2,300円くらい。 |
Rotational speed | PWM Mode:900 ~ 2,150 RPM ± 10% DC Mode:450 ~ 2,150 RPM ± 10% |
Airflow | 75 CFM |
Static pressure | 3.15 mm H₂O |
Acoustical noise | 10 ~ 28 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 25 mm |
ADATA
XPG VENTO PRO 120 PWMあの「Nidec」との協業であの「Gentle Typhoon」が元になっています。
軸もデュアルベアリングを採用し、高耐久長寿命を謳っております。別に音が大きいわけでは無いですが、静音性も求めるなら他があるかな、といった具合です。
ASUS「ROG STRIX XF 120」
ROG STRIX XF 120 | |
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金額 | リリース時の価格4,400円くらい。 最近は処分価格?なのか2,000円切りを見かける。 |
Rotational speed | 1800 rpm (+/- 10%) |
Airflow | 62.5 CFM |
Static pressure | 3.07 mm H₂O |
Acoustical noise | 22.5 dB(A) |
Size | 120 x 120 x 25 mm |
ASUS
ROG STRIX XF 120うーん、ASUSが好き!とかASUSで揃える!とかならアリじゃないでしょうか。
軸ブレや寿命に配慮した「MagLevベアリング」と呼んでいる磁気浮上タイプのベアリングを採用したり、形状設計も気合を入れてたりして、スペックは確かに高いです。
ですが、価格もかなり高いので、この価格なら他が...といった具合です。安くなってれば買いかも。
まとめ
いや~安いのに高品質なのは助かります。
おかげで?こんなにたくさん...
...まっ、何かの機会に使うでしょ!
前述の通り、コスパの高いファンです。
安いのに、風量もあって、音も静か。高品質ファンの鉄板になりそうな予感がします。万人にお勧め出来るファンだと思います。
後半、競合製品も見てきましたが―――昨今は高品質ファン増えましたね。選択肢が多いのは良い事です。
こちらも纏めると、予算度外視で静かさを求める場合はやはり、Noctua「NF-A12x25」になるでしょう。コスパで行くなら、Thermaltake「TOUGHFAN」が今回のMSI「MEG SILENT GALE P12」と良い勝負になりそうです。今時は見た目にもこだわった魅せるPCが流行ってますが、風量や静音性も重視しつつ、白PCに組み込むならThermalright「TL-B12」。ピッカピカに光らせるなら、CoolerMaster「MasterFan SF120M」と言ったところでしょうか。現状、個人輸入になってしまいますが、風量を最優先するなら、Phanteks「T30-120」が一強になりそうです。
最近は安くても高品質なファンが買えるようになってきました。最近のCPUやGPUは発熱量がなかなかにえげつないので、冷却面も1ランク上の製品を選んでみてはいかがでしょうか。
クイックレビューなので、ボリュームは大したことなかったかもしれませんが、今回はこんなとこで。では。
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MEG SILENT GALE P12
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